第3章 gleen
「え?え?」
「うわ、嬉しそう」
と雅紀くんが笑う。
「う、嬉しくな・・・いや、うん
久しぶりにそんなこと言われたから」
「えーちゃんは可愛いよ」
「・・・・・・、」
「あれ?嬉しそうじゃない」
う、嬉しすぎると
人ってフリーズすることを初めて知った。
「・・・あ、はは」
「なにそれ」
またふふっと笑う彼が
「俺、言っちゃった」
と真面目な顔をした。
「え?」
「健二に、
ちゃんだけはダメだって」
また
フリーズする私の脳内。
またいつもの笑顔に戻って
「へへへー」
と酔っぱらいの笑い方になる。
「お待たせーーーー!」
とタイミングよく入ってきた
いつもの仲間に
もう何が何だかわからず。
「おっそいよおー」と
普通な対応の雅紀くん。
それから馬鹿みたいに飲み続けたのに
一向に酔えず
目の前に座る雅紀くんに
ただただドキドキさせられた。
その日は何事もなく別れ
「酔った勢いか」と日々を過ごしていると
数日後、彼からの着信が入る。
「2人で会ってくれませんか?」
と電話の向こうで
照れたように言う彼に
またあの時のドキドキが蘇った。
END.
「覚えてる?」
「わ、忘れた!
(酔っ払ったフリしてた、とは言えない)」