第3章 gleen
「こうなると
本格的な夏キターって感じるよね」
「うん、凄いよね2年連続」
凄いよね、
またテンション上げられることが増えた
と、言う雅紀くん。
いやだから、私が言った凄いは、
そこじゃないんだよなあ、
と心の中で笑った。
雅紀くんとはこういう
言葉の取違えがよく起きるから面白い。
「あ、ほら触って」
と、私の手を取り自分の左胸に重ねる。
私を見て小さく笑い
「ね?ビートがハンパじゃない」
と途中から何言ってるかわからないくらいの
テンションでまた笑う。
ビートって、雅紀さん。
雅紀くんのくしゃくしゃになる笑顔が
腕から伝線して私に移ると
何故かそのビートと言うものが
更にテンポアップしたように感じた。
それに気づいた私が彼を見上げると
すぐに胸から手を離された。
「……やばい今のナシね」
「え?何が?」
「や、ううん、恥ずかしいからいい」
と両手で顔を隠し、
指の隙間から私を覗く彼が
「うっし、明日頑張れる!」
と気合いを入れた。
END.
「雅紀くん、何がナシ?」
「ちゃん意外としつこいな。
(笑った顔が可愛くてドキドキしたなんて言えない)」