第3章 gleen
「…そう、だよね」
と明らかに肩を落とした彼。
折角調べてくれた旅館には全て
秘湯、隠れ家的、にチェックが入っていて。
もうパンフレットに載ってる時点で
秘湯じゃないと思うんだけど
そんな彼の「2人で旅行に行きたい」
という真剣さが嬉しかった。
彼もわかってる。
ちゃんと自覚はしているんだ。
パンフレットをしまう彼を見つめて言った。
「…次のお休み、お弁当持って
誰にも見つからない場所探してみよっか?」
旅行は難しいかもしれないけど
外でお弁当たべるくらいなら
何処か、
2人だけの場所があるかもしれない。
彼が私のその言葉に、
うん、と笑って答えてくれる。
今はまだ低い低いガードレールだけど
私もいつか雅紀くんのように
なんでも飛び越えられる日がくる
かもしれない。
END.
「誰もいないなら外で変なことしても」
「駄目です」