第2章 red
まずい、そうでした。
ここは私の家で正月で家族が揃ってて
「すみません」と顔が赤くなるのが
自分でもわかる。
「ふふ、そうだよ航太くん
俺らいっつもこんな感じ」
「翔、やめてくれ
妹の女っぽい顔とか見たくない」
「ひっどい!お母さん!
お兄ちゃんがひどいこと言います!」
「あはは、仲良いなあ!」
「えー?何、
お母さん今翔くんのために
頑張ってんだから邪魔しないでよ」
「く、お母さんまで・・・」
「ねえ、翔、こんなのの何がいいの?」
「お兄ちゃん、怒るよ」
「もう顔怒ってるけど」
「しょ、翔くん」と隣で笑いを堪えている
彼に助けを求めると
「航太くん、あんまり苛めないで」
と笑ってくれた。
「はいはい、失礼しました」
兄がニヤニヤして私を見る。
2人きりじゃない正月も
楽しくて。
私は結局のところ隣で彼が
少し大袈裟なあの大笑いをしてくれたら
それだけで。
END.
「翔、お前結婚したら俺のこと
お兄ちゃんって呼ぶんだぜ?」
「ばっ、バカじゃないお兄ちゃん!」
「うん、そのつもりだよ、兄さん」
「え?じゃあ私はお母さん?
いや、きみちゃんでもいいわよ?」
「お、お母さんまで!気が早い!
翔くん、気にしなくていいからね!」
「あっはは!きみちゃん、いいね」
家族団欒で始まる2014年、
いつの日か彼がそこにいるのが
当たり前になったらいいのにと
願わずにはいられない
そんな始まり。