第2章 red
その日の夜、
ベッドの中で翔くんが
「貴方も泣きたくなる時があるの?」
そう聞いた。
話の脈絡もない、突発的なその質問が
さっき話した相葉くんの彼女と
繋がっていることは
すぐにわかった。
つまりそれは
「俺と付き合ってて、
泣きたくなる時があるの?」
という意味で。
泣きたくなる時、
うん、そうだな、と考えた。
「あるよ」
「そうだよね、そりゃそうだ」
と納得するような、
でも少し寂しそうな翔くんの顔に
また昔の、幼い時の面影が重なる。
「…こうやってね、
昔と変わらず、翔くんが隣に居てくれると
幸せすぎて泣いちゃいそうになる」
と隣にいる彼の大きな手を握る。
「…泣かないでよ」
「…うん、泣いてないよ」
「俺、ちゃんに泣かれたら
どうしていいかわかんなくなる」
「…ふふ、そういうとこ、
Sじゃないんだね」
「…っせえなあ、虐めてほしいの?」
「ふふ、なんでもいいよ、
どんな翔くんでも全部好き」
「あーもう!ばか!好きだ!」
そう言って
私を抱く力がバカすぎて
苦しかったけど
それは幸せの痛みだから
我慢しよう。
END.
「今度はいつ会えるかな」
「相葉くんに言っとくよ」
「翔くんも一緒に来てくれる?」
「…はいはい、しょうがないなあ
(この人は本気に俺の扱いが上手い)」