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君と紡ぐ100のお題

第1章 blue









「…ちゃん、ちゃん」

「……さ、としくん」



目を擦ると、そこには眉を下げて
私の肩を揺らす彼がいた。



「…風邪ひいちゃうからベッド、行こう?」


そうか、私そのまま
智くんのソファーで寝てしまったんだ。



なんだか凄く嫌な夢を見た気がする。
モヤモヤする気持ちが取れない。



心配そうに私を見つめる彼に
しがみつくようにして、首に手を回わす。




「……どうした?寒い?」



それが理由になるのなら、
そういうことにしておきたい。



「…うん、寒い」

「…ほんとだ、冷たい」


と彼が私の手を握る。




暖かい彼の温もりが、
触れた場所から私を包み込んでいくように、
冷たくなった気持ちも溶け始めるように。





「…寂しかった、て言ったら怒る?」




素直に口にしてしまう。



「…なんで怒ると思うの?」



智くんの温もりと、その優しい声は
凄いと思う。




「…お仕事、頑張ってるのに」



私が迷惑かけちゃいけないのに。




「ちゃんだって頑張ってる」




私が頑張る?
私は何を頑張っているのだろう。




「仕事ももちろんけど、
 こうやっていつもオイラを
 待っててくれるでしょ?
 嬉しいんだ。家に灯りが点いてるのって。」




私を褒めてくれてるの?



「ちゃんがこうやって
 素直に言ってくれるのもすげえ嬉しい。
 もうね、可愛いんだよ、ばか」



智くんの私に回す腕がぎゅっと強くなる。





「…素直になったご褒美あげようか?」

「ご褒美?」

「いや、ご褒美はオイラの方か」



そう言って、
そのままソファーに優しく押し倒されると、
ゆっくり顔が近づいた。








END.








「ベッドに行ったら
 もっといいご褒美があるんだけど」
「さ、としくん…お、風呂は…」
「あ、風呂場という手が」
「そういう意味じゃありません」

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