第6章 『ブッキングデート』
「リヴァイさんは迷惑だっていうのか?」
「いえ。私はリヴァイさんに買われた身。根底ではそうあっても、今、私はリヴァイさんの大切なものです。私も今ならリヴァイさんが大切だと分かります」
「……買われた?」
「はい。私は元々人形だったのです」
大変な過去があったのだな。とラビは彼女の言葉から感じ取り、今この話を蒸し返す時ではない。と自分の好奇心を押さえ話題を逸らす。
「好きなんさ? リヴァイさんの事」
「はい。もちろん、リヴァイさんも好きですが、ジークリットもグートルーンも、調査兵団の皆さんが好きです」
「よかった。ウリエちゃんにちゃんと好きな人がいて」
「ラビさんも、神田さんも、トマさんも。不思議ですが、誰かが自分の名前を呼んで下さるととても心が温かくなります」
素直。
怖いほど、心配するほどに素直。
「俺、ウリエちゃんに会えてよかった。きつくて辛いことばかり。だけど、そうさな。俺の名前を呼んでくれる人がいるってのは、好きなことだ」
「はい」
あぁー……すとらいく……
「だから、もっと俺の名前呼んでくれる?」
「いくらでも呼んでやろう。ラビ。一先ず外へ出ろ」
「アヒッ!」
「リヴァイさん! どちらへ行かれていたのですか?」
「ウリエ。次はお前に危機管理と言う物を教える」
「ききかんり、ですか。はい、頑張ります」
「ひあ! くび、首締まって、る!」
「騒ぐなラビ。すぐに楽にしてやる」
「あぁあああああああ! ごめんなさい! もうしませんんんんん!」
後に、この通りは断末魔の叫び通りと名付けられたとか。
(AKUMAより悪魔さ……)
(「手袋、返しておけ」)
「ウリエ。なんだその服は」
「ラビさんが選んでくれた物ですが、似合っていますか?」
「……歳を考えろ」
「歳、ですか?」
「歳相応の格好と言うものがあるだろうが。お前はいつもの白いワンピースで良い」
「そうですか……」
「……似合っていないわけじゃない。その、なんだ。俺は、お前がそのワンピースを着ているのが一番……好きだ」
・・・