第4章 『温泉』
「天狐さん。またも忠告になってしまいますけど、お酒もあまり飲みすぎると良くないんですよ?」
「それはなんとなくわかる。酔うと自制心が利かなくなる」
「以前話してくれましたけど、お戯れになったそうじゃありませんか。呑んだ後に」
「人間の姿を取って、ああも情熱的になったのは、確かにあの時が初めてじゃの。酒とは呑む人だけでなく。周りも酔わせてしまうもんなのか」
「それは天狐さんが、人間の男にとっては非常に理性の効かなくなる見た目であり、無防備に見え、無意識のうちに餌付けしたくなるからじゃ?」
「……褒め言葉だろうな?」
「もちろん」
じゃぽん。と天狐も湯船に身を沈める。
「まぁ、酒とはけったいなものじゃが、楽しいものでもある」
「誰とどこで呑むか。これが一番重要ですよ」
「うむ」
「ところで、のぼせませんか?」
「ぼーっとするのう」
「じゃあ、上がって美味しいご飯でも食べませんか?」
「いいのう!」
ざっぱぁ!と上がった二人がこの後、冷や汗をかくことになるまで、後少し。
・・・