第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道
ようやく探り当てたこの場所。しかし、動くわけにはいかない。
国王から援軍が来るまで待機を言い渡された為だ。
相方がまだ、合流出来ていない。下手に動いて逃しては今までの苦労は水の泡。逃さないで捕らえる程の自信は持ち合わせていなかった。
「やっと、終わる」
相方を待ちながらつい口に出してしまう。
お世辞にも穏やかとは言えない、なれど、辛酸を舐める日々かと問われれば否と答える。
とても長く、険しくも、充実した研鑽の日々。
しかし
「終わってしまう・・・。」
この日を待ち望んでいた様な、少し残念な思いもある
それでも、後戻りは出来ないのだ。
あの日、誓ったのだから
首に下げられた蒼い石のついた指輪。月明かりに照らされ青白く輝く石に映った顔はその輝く石にも負けない真っ白な髪と星のような瞳。
指は細くアカギレだらけで痛々しい。
指に嵌めるもどの指にも合わなくなった。記憶に残る自身とは似ても似つかぬ姿。
『後悔しない?』
そう、聞かれたのは二回、いや三回だ。
答えは
「・・・しないよ。する資格はない。するわけが無い」
あの日、あの時一番望んでいたことは叶えられたのだから。