第6章 ダリアと怪我。*
突然全身がガクリと揺れ、上手く反応が出来ずに前面に転んだ。運が良いのか悪いのか、人通りのない道だったから誰にも見られずに済んだものの、足元を確認したら履いていたヒールが折れており盛大な溜息を吐いて項垂れた。膝は擦り剝いてるし、スカートも少し擦り切れてしまっている。立ち上がろうにも上手く力が入らずはぁ、と何度目かの溜息を吐いた。
すると突然背後の茂みが大きく揺れ小さな悲鳴を上げる。ガサガサと大きな音を立てながら、しかしその正体は見えず、逃げようにも立ち上がることも出来ない。なんとか後退りをしながら茂みから離れて姿を現すのをじっと待つ。
しばらくの沈黙の後、茂みから飛び上がり姿を見せたのは、
「さんかく~!」
「え、み、三角くん…?」
「あ~、はる何やってるの~?」
髪に草を付けながら目の前に降り立った三角くんは、座り込んだままの私と視線を合わせるようにしゃがみ込むと興味津々と言ったように大きな目で真っ直ぐに私を捉えた。盛大にすっ転びました、とは言い出せずに言い淀むと何も言わない私を不思議に思ったのか三角くんは首を傾げて私の全身を一瞥した。そしてなるほど、と言ったように手の平に拳の乗せると笑顔が一瞬で困り顔へと変わった。
「転んだ~?」
言葉は間延びしているものの心配を孕んだ声に一度こくりと頷く。そして折れたヒールを見せると困り顔がぱぁっと笑顔になった。表情の変化の意図が分からず今度はこちらが首を傾げる。
「さんかくだ~!」