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【A3!】劇団員たちとの楽しい日常。

第5章 アネモネとキス。2



 夢を見た。柔らかな陽光を背に受けた密さんにキスをされる夢。優しく私の頭を撫でて、額や頬に触れるだけのキスを落とす。頬を撫でた手は温かく、頬に手を添えたまま親指の腹が頬を行き来した。心地の良い時間。これが現実ならいいのに。


「ん…、」


 ゆるりと目を覚ますと目の前に密さんの顔があって、まだ夢の中かと頭がぼんやりと考える。密さんは先ほどと同じように私の頬を撫でて、触れるだけのキスを落とした。あの時と同じ感触、温もり。ひそかさん。名前を呼ぶと密さんの瞳が私を真っ直ぐに見詰め、優しく笑った。胸が締め付けられ、密さんの服の裾を掴んだ。


「きす、したいです、」


 夢の中だからか、口から出たのは素直な本心だった。本人には絶対に言えない言葉。今までしまっていた言葉がぽろりと落ちる。僅かに目を見開いた密さんは軽く瞳を伏せ、私に覆いかぶさるように近付いてきた。
 触れた唇の隙間から舌が私の唇を舐める。ちいさく唇を開くとその間から舌が滑り込み、逃げるように舌を引っ込めると追いかけられ、絡め取られる。自由に動く舌は私の咥内を犯し、歯列をなぞるとまた私の舌に絡まって唾液が口の端から零れた。呼吸が上手く出来ず、頭が上手く回らない。夢の中でもこんなにリアルなのかと頭の端で考えて、違和感に気付いた。

 果たしてこれは本当に夢なのだろうか。

 一度芽吹いた疑問が頭を働かせる。夢の中でこんなにはっきりと感触を感じるものだろうか。密さんの肩を緩く押すと体が離れ、唾液が糸のように唇同士を結ぶとぷつりと切れて垂れた。それを舐めとった密さんが不意に玄関の方へと視線を向けると突然私を抱き上げ談話室を出た。
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