第3章 ユリと本音。
「…ごめん」
「、え」
「悪いのはオレだよね。はるは悪くないよ」
「でも、」
立ち上がった幸くんが私に歩み寄り、恐る恐ると言ったように私の手を取った。私より少し背の高い幸くんを少し見上げるといつもとは違う表情につい押し黙り、次の言葉を待つ。言葉を整理してるのか視線を落とした幸くんは私の手をぎゅっと握ると再度視線を上げて私をまっすぐに射抜いた。
「焦ってたんだ。オレは周りの奴らより、子供だから」
「、」
「デートって言われて、正直浮かれてた。でも今日一日一緒にいて、やっぱり男として意識されないって思ったらなんかすごくムカついて、それで、あんな態度…」
しゅん、と眉を寄せる幸くんは年相応の幼さを感じさせた。普段は周りの人たちに何でもはっきり言ってるけど、やっぱり幸くんはまだ中学生で。だけど大人になりたくて精一杯だったんだ。
何か言葉を返さないと。そう思い握られた幸くんの手を握り返し幸くんの瞳をまっすぐに見返すと、幸くんがにんまりと笑みを浮かべた。あれ、と拍子抜けしたような、幸くんの考えていることが分からず喉元まで出てきていた言葉がふっと消える。
「オレが言ってること、まだわかってないでしょ」
言いながら握った手を口元まで持ち上げた幸くんがそのまま私の指先にキスを落とした。