第11章 安土で(4)
私の朝は
秀吉さんの一声で始まる。
秀吉「舞、朝だぞー」
秀吉さんはこうやって
毎朝起こしに来てくれるのだ。
「秀吉さん…おはよう……
いつもごめんね……」
秀吉「謝るな、俺が
お前をめいっぱい
甘やかすって決めたんだ。」
世話役として仕事をして
一週間くらい経った頃、
秀吉さんと一緒に
信長様への贈り物を届けたとき、
私は贈り物の羽織にまち針が
刺さったままなのに気づいた。
そしてその針が
信長様暗殺のために
毒を仕込んだものだったとわかり、
結果的に私は
信長様の命を再び救ったのだ。
その一件があってから、
秀吉さんは贖罪として
私を甘やかして
くれているらしい。
(…もともと秀吉さんは
私を疑ってた時から
監視、と言いながら
フォローしてくれてた)
思えば秀吉さんは最初から、
重い荷物を持ってくれたり、
さり気ない優しさで
助けてくれていたのだった。
それがその一件からは
助けてくれる、なんて
言葉じゃ足りないくらい
甘やかしてくれるように
なってくれて、
光秀さんからは
「お前は舞の兄か」
などと言われている。
ちなみに光秀さん曰く
母役は政宗らしい。
着替えを終えた頃を
見計らって秀吉さんが
再び部屋にやってくる。
秀吉「朝餉を用意したぞ。」
「……もう、そんなに
甘やかされたら私、
どんどんダメになっちゃうよ」
苦笑してそう言うと
秀吉さんは真面目な顔で
秀吉「これは俺の
罪滅ぼし
みたいなもんなんだ。
止めてくれるな。」
困った顔で頼まれると
私は何も言えなくなってしまう。
……と、ここまでが
ほぼ毎朝のやり取り。