第1章 The story begins

〈真愛side〉

揺れている。

ゆっくりと目を開けると、青い空と青い海が見える。
そしてよーく見ると小さな島が浮かんでいた。

ここは．．．船？

「よっ！目ぇ覚めたかい？嬢ちゃん！」

男の人が、私に話しかけているのだと気づくまで、数秒かかった。

「え…っと、どこに向かってるんですか？」

「まーだ寝ぼけてんのか？シンドリアだよ、シンドリア」

．．．へ？
私は寝ぼけているの？シンドリアって、マギの．．．

そう思った瞬間、すべてを思い出した。
「え、マジだったの？あれ．．．」

つい口に出してしまった。

「なにがだい？夢でも見たのか？」
「いえ…はい！夢を見てました．．．」

噓を隠すように、男の人の方を向いて、笑顔で言った。
男の人はそうかい、と言って顔をそむけた。
少し疑問に思ったが、それよりも…


私、本当にマギの世界に来ちゃったの？

現実感がまるでなく、本当に夢を見ているようだ。

「にしても、シンドリアか．．．」
ジャーファルさんに会えるかな？なんて…
私は自分で自分の不安を隠すように、そう思った。