第54章 協力者
「あの…幸男さん…?」
「…………」
「……?」
幸男さんに手を引っ張られるまま、どこに行くのかと思っていると中庭を一周しているのがわかり…声をかけるが反応がない。
「幸男さん?
…どこ行くんですか?」
「っ…!
いや…別に…決まってねえよ…」
「……もしかして……
怒って…ますか…?」
再び中庭を2周目に入りそうになるのを感じ、もう一度声をかけると急に立ち止まり私と目が合うとすぐに顔を逸らして顔を背ける。
目を合わせようとしてくれないのを見て、笑いすぎてしまったんじゃないかと思い恐る恐る聞くと、再び手を引っ張るように使われていない古びた建物がある場所までやってくる。
「ここって……たしか…
使われてない図書館ですよね…?」
「ここなら…あんま人…来ねえだろ…」
「ゆっ…//////!」
文化舎の敷地内に古いレンガ調の図書館があり…今は資料を保管するための建物として使われている。
古い建物のため、人通りも少なく…
幸男さんが使われていない図書館に来る理由がわからなくて尋ねようとすると間髪を入れずギュッと抱きしめられる。
「聖知……っ…
俺は別に怒ってねえ…
ただ…俺以外の前でっ……」
「っ…///
あの…だ…誰か来るかもしれないのでっ…///」
「来ねえよ。
……俺以外の男にあんな顔見せるんじゃねえ…」
抱きしめたまま幸男さんは話を続けると、校内で誰かに見られるかもしれない気持ちから離れようとしてもますます離すまいと幸男さんの胸板の中に閉じ込められる。