第48章 学力テスト
「これで戸締り完了っと…」
「あ…聖知っち!」
聖知は片付けを終えて、体育館の戸締りを終えると職員室に鍵を返却しに行こうとすると黄瀬に呼び止められる。
「…涼太…何か忘れ物…?」
「違うっすよ……今日一緒に…」
「黄瀬っ!」
「…笠松先輩……?」
聖知は黄瀬と笠松が同時に体育館に来たのを見て雰囲気があまり良いものでないことを悟る。
「……今日一緒に帰らないっすか?」
「ごめん、今日笠松先輩と帰るの。」
「……俺も一緒に帰っていいっすか?
それと…明日…部活休みだから勉強教えてほしくて…」
黄瀬の熱い視線に聖知は気持ちに応えることができず顔をそらす。
笠松の目の前で恥ずかしかったが、はっきりとした態度を示す必要があると思い意を消して黄瀬に言葉を続ける。
「………涼太…
前にも言ったんだけど…
私が好きなのは笠松先輩なの…
気持ちには応えられない…
勉強はまた月曜日の昼休みに教えるね…」
「っ…聖知……」
聖知は黄瀬から離れて笠松の元に行き腕に抱きつく。
笠松も聖知の行動に驚き…聖知自身も…こんなやり方は黄瀬を傷つけてしまうとわかっていながらも…伝えると黄瀬は無言で聖知を見つめ意外な行動に出た。