第9章 過去※
「やめろ。」
「…こいつだけは許せないッ…!一発だけっすよ!」
「そういう問題じゃねえだろ。お前が殴ろうが何も変わんねえだろ。少しは頭を冷やせ。」
「ッ………」
涼太は悔しそうな表情を浮かべて拳をゆっくり降ろし花宮を睨みつけていた。
「ハッ…冷静な判断だな。しかし、毎回毎回馬鹿みてえに邪魔してくれるよなぁ…笠松。」
「馬鹿はどっちだ。お前のやってることは拉致監禁に近い行為だろ。」
「ハッ…拉致監禁?こんなのただのゲームだ。俺が暇をつぶすためのな。リアル脱出ゲームなかなか楽しめたぜ?」
「…二度と水瀬には近づくな。」
「そいつは無理な相談だな。こいつは俺の玩具なんだよ。玩具は…壊れるまで使わねえとな…。」
「くッ……聖知っち大丈夫っすか?」
花宮は笠松さんを睨み付けていた。
笠松さんたちが来てくれなかったらどうなっていたかわからない。
私は考えるだけで身体の震えが止まらなかった。
花宮にとっては私はただの玩具。
「…………これで終わったと思うなよ。また、遊ぼうぜ…?聖知ちゃん。」
花宮は私を見て蔑むように笑いながらそこから立ち去った。
さっきから涙が出て仕方なかったのに今では私の身体は恐怖で震えていた。
去年もそうだった。