第34章 信頼の大きさ
「ッ…おい…澄香ッ…なんでここにッ……おかげで負けちまったじゃねーか…」
「貴方が、ホテルから出ていくのが見えたから…………笠松君と……何やってんの…?」
「チッ…」
「俺…今のカウントなしでいいです…瑛一さんなら届いてましたよね…」
「ッ…約束は約束だ…どんな形であれ…お前が抜いたことに変わりはねえ…」
「約束…?…笠松君…何を約束したの…?」
同じ手は通用しないと思い、悩んでると瑛一さんはため息をついて吹っ切れた表情を浮かべていた。
それを怪訝そうな表情で澄香さんが俺にまったく目が笑ってない笑顔で迫ってきてつい、1on1の話をしてしまった。
「……瑛一さん…貴方は子供なのかしら……普通に認めたらいいでしょ……笠松君…ごめんなさいね……自主練の邪魔した挙句この人の我儘に付き合わせてしまって……」
「おい…だれが我儘だッ…」
「いや……俺も良い練習になったので……瑛一さん…ありがとうございます…」
「チッ……仕方ねえから認めてやる……言っとくが…あくまで今は様子を見るだけだ……聖知と手を繋ぐぐらいなら許してやる……それ以上は許さねえからな。」
俺が話終わると澄香さんは腕を組んで瑛一さんに仁王立ちして怒っていた。
澄香さんが申し訳なさそうに謝ると瑛一さんは舌打ちをして俺を見て「認めてやる」と言われて安堵するのも束の間様子見と言われ認める気ねぇだろと心底思った。
手を繋ぐどころか…キスや既に聖知を抱いたことを言うとぜってぇ殺されると思い黙り込む。
「……手を繋ぐだけって…幼稚園児じゃあるまいし……」
「うるせぇ……」
「じゃあ…俺……学校に行かないといけないので…」
俺は逃げるようにその場を去ろうとすると澄香さんに呼び止められる。
「ぁ……笠松君…聖知の事…よろしくね……あと……まだ高校生なんだから…情事は…ほどほどにね…?」
「ッ…なッ…///」
笑顔で俺に近づいて優しい表情を浮かべると小声で俺だけに聞こえる声で囁かれるとなんで知ってんのかわからないまま顔が赤くなると「女のカンよ」とウインクしてクスクス笑い手を振っている。
俺は、認めてもらった嬉しさと澄香さんに見抜かれていたことに恥ずかしくなり家まで急いで帰った。
ーー笠松視点終了ーー