第32章 再会
ーー日本 如月家 屋敷ーー
「…旦那様……お久しぶりでございます。3年ぶりですね。」
「その旦那様はやめろ。別にお前の顔なんか見にきたわけじゃねえよ。俺の質問に答えろ。」
「はい、なんでしょうか。」
「あのババア、聖知がここにいないこと気づいたんだろ?何を命令されたか言え。」
「その件については私がうまく説明しておきました。紅羽様からは、お嬢様の身辺の害虫探しを命令されました。くすっ…瑛一様のようなお方がお嬢様の周辺にいないかご心配のご様子でした。」
グレーのスーツにサングラスをかけて如月家の屋敷を訪れる男が1人。
水瀬 瑛一。聖知の父親。
母親の澄香より、祖母である紅羽が聖知の不在に気づいて何か手を出される前に日本に来てまず紅羽の信頼する部下桐生のいる如月家の屋敷に訪れる。
ーー瑛一視点ーー
目の前にいる桐生に話を聞くと、相変わらず人の神経を逆撫でするような話し方をする奴だった。
「で…どうだったよ…聖知の周りに俺みたいなイケメンはいたかよ…いるわけねえだろ…聖知にそんな余裕はねえよ…」
「さぁ…どうでしょう…害虫はいなかったとだけお伝えしておきます。」
「なんだその言い方は…」
「ご自分で確かめてはいかがですか?瑛一様もお嬢様に会うのは中学の入学以来ですよね……」
「携帯でマメに連絡は取っている。あいつは…誰にも心は開かねえよ…お前らに潰されたからな!……あのババアにも伝えておけ…聖知は絶対に思い通りにはさせねえってな…」
聖知にそんな余裕あるわけねえだろ…
俺と澄香にも何も言わず甘えず育ってしまったせいか…
高校入学も1人で全部決めて…
親なのにどこの高校に進んだのかも知らねえなんて……
そんな風にさせちまったのは…ババアのせいもあるが……
俺が不甲斐ないせいで聖知をあんな風にしてしまった…
だから、これ以上聖知をババアの思い通りにはさせねえ…
俺は如月家を出るとスマホを取り出し聖知にメッセージを送る。
「今日本に帰国している。今日会えないか?」
LINEでメッセージを送るとスマホを直して車へと乗り込む。
ーー瑛一視点終了ーー