第1章 初めての出会い※
私たちは帝光中3年
夏
運命の出会いが始まった。
「聖知っちーそろそろいくっすよ?」
「涼太…だから呼び鈴鳴らしてよ…」
朝早く支度をしていると勝手に扉を開ける黄瀬涼太。
彼は私の幼馴染。小さい頃からの付き合いでいつも呼び鈴を鳴らすことなく無条件で家に入ってくる。
「ほら、いくっすよ?」
「ちょっ…そんなに急がないでよっ」
家の戸締りをして電車で帝光中に向かう。
夏合宿が終わり、全中が間近に迫る中進路を大方決めなければいけない時期になっていた。
--電車の中--
「聖知っち!今日進路相談あると思うんっすけど行きたい高校とか決まったすか?」
「全然。決めてない。涼太はたしか海常高校に行くんでしょ?」
「なら、海常に来ないっすか?」
「うーん…まぁ、考えとく」
涼太は海常からスカウトされてほぼ合格も決まっているようだった。当の私ははっきり言うと何もやりたいこともなく進路も何も決まっていなかった。
「今日、私ちょっと用事あるから先帰ってて。」
「え…なら俺も「部活あるでしょ?」
すぐ付いてきたがる涼太の言葉を遮り他愛のない会話をしながら学校へと足を早め朝練に加わった。