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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第5章 悪意 中國山地


 兵介と真綾の付き合いはそう長くない。出会ったのは出雲介降伏の二年前。鳥取管区の最後の拠点が畿内軍に攻略され、真綾の家族達を含む人々が難民として出雲へ向け徒歩で逃げ出しているのを救援にやって来た出雲軍が拾い、そこに従軍していた山路が真綾の母親を背負って後方根拠地まで連れて行ったのが馴れ初(そ)めである。

 その後、出雲の将軍であった宇山久頼(ひさより)が真綾の母を後妻に迎え、真綾は宇山の娘となり、その後山路と交際するようになった。出雲介降伏の頃である。山路は真綾と暫く同居していたが、宇喜多からの出仕要請を拒んだ結果東京方面へ出稼ぎに向かい、諸事の末帰郷した。真綾は諸事の幾つかについて詰問(きつもん)し、兵介は軽挙のツケを払わされる事態となったが、最終的に真綾に許され元の鞘(さや)に収まった。

 その真綾を度々怒らせる兵介。幾度となく機嫌を取りながらそれを全て帳消しにする失態を繰り返す兵介は、しかし真綾を失いたいとは全く思っていない。それでも一切成長がないのである。兵介は只々悔いるばかりであった。

「声だけなら、なあ」

 どうしてああも素っ気なくやってしまったのか。常なる事だが、悔いては湿っぽく悩む。兵介は自分でも未熟だと感じている。

 この時、声だけという彼女の言葉を鵜呑みにした事が最大の後悔となる事を兵介は身を以て味わう事になる。
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