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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第5章 悪意 中國山地


「ん? どうした、さっきの勢いは?まあ、良いが。それならアレだ、アレが良い」

「ッ‥アレとは?」

「星川女王の懐刀、上杉橄欖はどうやら他の連中と対立しているそうでな。科挙と節度使、石田三成(いしだ みつなり)と加藤清正(かとう きよまさ)、相良武任(さがら たけとう)と陶晴賢(すえ はるかた)みたいなもんだろうが、特に星川子飼いの笹川(ささがわ)なにがしとか言う男が常に殺さんばかりに彼女を睨み付けておるという。狙い目だとは思わんか?」

「…面白そうですね。それを如何に料理するかですが」

「激発するだけでも愉快な事だ。笹川、摂津(せっつ)、小田(おだ)、岩月(いわつき)と武闘派が多い星川家だ。まあ軍閥ゆえ当たり前だがな。こ奴らを用いて上杉を引き摺り下ろせば貴様らも満足であろう?」

「ええ、堪らない」

 三沢は先ほどの物思いをどこかへ投げ、愉快な話に意識を集中した。所詮、三沢は嗜虐の虜である。宇喜多は更に付け加えた。

「因みに橄欖には心のみ交わした者がおるそうな。狙い目はそこだな」

「はて、それは何故でしょう?」

「キリスト者だそうだ、そやつ。コミュニストだった橄欖を主の教えに帰服させたという打たれ強い男だそうだ。こやつを叩けば橄欖の心は必ず折れる。いや寧ろ」

「砕ける。それも木端微塵に。オリーブは萎(しぼ)み、油の抜けた奴は只の枯草。星川も柱が折れ、後は手足が頭を真似て嘗ての大本営の様になる」

「明察だよ、三沢。やっと追い付いて来たな」

 宇喜多は弟子の答えに喜びを隠さない。三沢も光栄とばかりに破顔し、加えて心中で星川の城の前で笹川達が膝をついて聖戦に敗れた事を詫びる、どこぞの記録映画で見たような光景を夢想し悦に入った。

 これから暫くの間、獲物を星川から清水、東京、吉野、更には和泉女院にまで広げて主従2人は嗜虐の策を語り合った。全く、似たり寄った主従である。

 傾いた日を追って夜が頭上へやって来る。主従の穏やかな時間であった。

 日が暮れると、福原は静まり返った。最早人心を湧かすネオンの灯はない。静寂という言葉がよく似合う、そんな頃合いとなった。
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