爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第5章 悪意 中國山地
「それにしても、ご友人の方を矛としてお使いになられるというのも、いやはや恐れ入る事です」
「随分と口のきき方を覚えたな、三沢」
「あなた様の受け売りで御座いますれば」
ちょくちょく毒を吐く宿直・三沢実幸に対して宇喜多は多少睨むような視線を浴びせるが、三沢はどこ吹く風と言った具合である。
「無駄口ばかり覚え負って…そんな口ばかり利いた覚えは無いぞ?」
「覚え無き程に、で御座いますよ」
三沢は毒を吐きながら淹れたコーヒーを宇喜多が腰を据えている執務室のデスクに置いた。宇喜多はそれをためらいもせずに口元まで持ち上げた。
「…ふ、言い寄るわ」
宇喜多は背もたれに体重を掛けながらコーヒーを啜っている。それを見て思い出したように三沢は話し出した。
「ところで、宇喜多様」
「ん? 扶持(ふち)なら増やさんぞ」
「それは残念ですが、別件です」
三沢はさらっと流した。宇喜多は平素の澄まし顔を見て、別件を悟れた。付き合いは長い。
「…太子党の犬めらが騒ぎ立てておるのか」
「御意。境港のBMP-2について、詳細が聞きたいそうでしたよ、周上尉は」
「ああ、アレか」
「知っていたのですか」
「当たり前だ」
ならこっちに言えよ、じじい。三沢はそう思った。
「普段の保管スペースでは危険なものでな」
「積荷はやはりそれだけのものなのですか?」
「まあな。別に吸ったら皮膚が爛れたり、星川の化粧が剥がれたりするわけじゃないんだがの。不用意に近づいたら生きては帰れん」
「中身は猛獣ですか、あれは」
「八洲の連中が一門郎党悉くを動員してどうにか退けたそうだ。少なくとも、我々の想像が及ぶ程の人間じゃないんだろう」
「そんな化け物、何に使うんです?」
三沢は少し溜息をついて述べたが、宇喜多はそのままコーヒーを啜って続けた。
「…使い所はある。精士郎(せいしろう)に内緒で聞いた所では雇った一流の狙撃手を遠方より認知し、追い詰めた挙句―――ったそうだ」
ん?
三沢は聞き取れない部分が無性に気になった。しかし、宇喜多はもう言い切っている。敢えて問わない事にした。
「吉野菫でも狙いますか?」
三沢は自分のコーヒーを淹れている。宇喜多もそちらを向かない。
「一考の余地はある。腕の一本でも持っていければ随分と気落ちするだろうしな」