第6章 XXXXXXX回目のやり直し。
目が覚めるといつもの景色だった。
いつもの、というのは最初ということ。
ダンゾウ様の足元。
そこは心地がよくてふと、ダンゾウ様を見上げる。
「眠っていたのか」
「はい、少し」
「そうか…」
微笑んで彼の足元に再び座り伏せる。
着飾るわけでも、慰めるわけでもなく、私のお父さんのように愛して大切にしてくれていると知っている。だから、どんなことを言われてもどんなことを強いられてもこの人の元に帰ってこようと思えた。
「お前に話がある」
「はい」
ダンゾウ様以外の香りがしない。
人払いをしているのだろう。
「綱手がお前を外にと言ってきた」
「…そう、ですか」
「お前が外を望むなら私は受け入れようと思う」
「……ダンゾウ様とお心は一緒です」
行きたいと言えなくなってしまった。
外を望みながら外に怯える。
「行け」
「はい…かしこまりました」
彼の静かな声に私は目を閉じる。
「はたけサクモ、覚えているか」
此処で何故彼の名前が出てくるのか解らなかった。
顔を上げてとぼとぼと彼の正面に座る。
「はい」
眉間を寄せたのはたしかだった。
「あいつの監視下に入る事になる」
「…………ぇ」
初めてのことだった。
嫌なのかと聞かれたが私はなんと答えるべきか解らなかった。
何故その人が生きているのか、死んでいるはずでしょう?等口が裂けてもきけない。
動揺する私に首をかしげ顎を触るダンゾウ様。
「お前を連れてきた時にやけになついていたから、好いてるものだと思っていたが」
「……そんな事ございません」
あの人は、酷い人。
「まぁいい、綱手に報告してくる。お前は此処にいろ」
明確な指示。
ダンゾウ様の背中を見てぐっと飲み込めなかった言葉があふれる。