第2章 愛してもらいたかった。
「さっき、イタチさんが来ていてさんにって、杏仁豆腐置いていってましたよ」
「まぁ!ならサクラお茶にしましょうか」
「はい、ちょうど私も休憩になるのでゆっくりできます」
「ごめんなさいね」
大丈夫ですよ、と言って私の手をぎゅっと握る。
ベッドに寝そべると、つい眠気が襲う。
さんーと名前を呼ばれるがいつも、この香りで眠ってしまう。
硬めの枕に頭を押し付け、夢の中に行く。
一時間だけの熟睡。
それで十分だった。
終わりましたよといつもなら言われるのだが、熟睡していたのか久しぶりに自分から目が覚める。
カァカァと聞こえ飛び起きると、隣にはまたもや不機嫌な顔をしたはたけさんが居た。
「おはよう」
「お、はようござい、ます…」
「さっきはまんまと逃げられたからね」
「お疲れな顔をしていらっしゃいましたから」
「なら一緒に帰ろう?」
どこからなら、って言葉につながるのか理解出来なかった。
「いえ、のはらさんに勘違いや不愉快な思いもさせてしまいますし、この姿ではご迷惑にしかなりませんからね」
はっきり言い切ると、ベッドから足をおろし上着を着ていた。
冷蔵庫から取り出した袋には杏仁豆腐が入っていて、ふと微笑む。
小さく、手紙には「いつでも迎えに行きますよ」と書かれていた。
サクラがこれを見たらはしゃぎそうだな、と思いながら袋を手に振り返る。