第14章 懐かしさと。
「あぁ、委ねよう。じゃが、もし、民にの事実が漏れ噂となれば、木ノ葉の人狼はすべからく追放する。」
「⋯⋯」
「この事実を知ってるのは極数名、名簿は後でサクモに預ける。良いな、人狼を憎むのはもう終いじゃ」
静まり返った部屋にため息がポツリポツリ。
「一つ、聞いて良いか?」
コハルの言葉に振り返るヒルゼン。
「ダンゾウはなんと?」
「⋯⋯外を許したのは誰でもないダンゾウだ。は⋯ダンゾウが死ねと言えば喜んでその命を捧げる娘じゃ、奴は人狼ではなく、出会った時からただ、を見てきたんじゃよ」
にこりと笑みを浮かべるヒルゼンにコハルは俯いていた。
「は、ちゃあんと、理解している。あの子は賢い娘じゃ」
頷くコハルを宥めるのを見て深くため息をつく。三代目の話術のせいか、全てが都合よく転がされた。
「所で、火影様、相談があるんだ」
この人は自分の父ながら本当に食えない人だ。自分もこうなのだろうか?いや、もう少し真人間であると願おう。
「カカシ」
可愛くない親友と
「火影様」
可愛い後輩が
兎のような目をしていた。
「綱手様曰く、えらく美人らしいぜ」
月がまんまるにくっきりと空を切り取り、夜風が心地よく吹いた。
オビトの言葉の意味が飲み込めず、喉につっかえていると、ふさりと短い髪の毛を風が遊んでいた。
「が待ってる」
ドキッとした。
「が頑張ったんだ、褒めてやれよ」
行けない。
俺はいけない。
「不安になってお前の服抱えてよ」
会ってはならない。
「、まだ、子供を見てないんですよ」
イタチが泣きあとをつけて微笑む。
「貴方と喜びたいからと⋯」
張り詰めたクッションが破裂したような感覚だった。ふわりふわりと何かが軽くなり飛んでいく、心が軽くなってしまった。