第10章 狼と狐と。
ナルトは朝早く出掛け、は家事を一通り済ませると、一息付いていた。
空気入れ替えをしようと、窓を開けて驚く。
「まぁ!」
「やっ」
は目を輝かせていた。
手を伸ばし微笑む。
ぎゅっと抱きつくに驚きながらも、そろりと手を背中に添える。
「少し会わないうちに、俺の婚約者さんは、大胆になったんだねぇ」
「ち、ちがい、ちが、お顔を見せてください、ちゃんと食べてますか?お怪我はなさってませんか?」
ナルトと対して変わらない扱い。
それでも、そんな事でも嬉しくて、困った顔をする彼女を抱き上げ膝に座らせる。
「随分ヤンチャしているらしいね」
「⋯!」
急に固まるが面白くて。
「イタチから聞いてるよ、勿論テンゾウからもね」
「!な、なにを」
「何を?そんなに俺には言えないことをしているの?」
「そ、それはご、ごかいです⋯」
「そんな視線を逸らして言われても、説得力ないねぇ」
ちらりと胸元に輝くネックレス。
お面をずらし、キスを一つ落とす。
「、ごめんね。俺にまだなんの力もないからだね」
「な、なにをおっしゃいますか!」
「でもね、この鎖をつけた時とっても、嬉しかったんだよ」
ネックレスの鎖を指でなぞる。
はキョトンとしてカカシを見つめる。
「俺のだって証だからね」
ぼふっと真っ赤な顔をする、それがおかしくて喉を鳴らし笑う。可愛い可愛いたった一人。
「強くなるよ。」
「⋯強く、ですか」
「俺は臆病者だから、きっと失わないと解らないと思う」
「そんな事、ありません!」
「だから、今度は⋯失うことがないように⋯強くなる。待っていて」
「⋯私に出来ることは無いのですか?」
あるよ、と優しく微笑む。
「待っていてほしい、」
「⋯⋯!それは⋯とても、大役で大変ですね⋯」
一人にさせることになるかもしれない、寂しい思いをさせるかもしれない。
辛い時傍に居られないかも知れない。
同じ時間を大きく削るだけになるかもしれない。
「待っています、カカシ様。」
「、俺の婚約者も、奥さんも、だけのものだよ、信じていて欲しい」
ぎゅっと抱きしめられ、泣きそうになった。