第10章 狼と狐と。
カカシはと合わない数日がもどかしかった。
サクモはと言えば、部屋を掃除し始め一週間何故か再びちょっと行ってくると出ていってしまう。
我が父ながら何を考えているか解らない。
「明後日まで我慢出来ないんですか、貴方は」
「テンゾウやけに冷たいね」
「⋯そりゃそうでしょ、僕がもらった惣菜を全部食べちゃったんですから」
「最近まともなご飯食べてなかったからねぇ⋯これがあと5年続くかと思うと⋯はぁ⋯」
「はあの調子ですから、監視だったんですけどね⋯イタチさんが留守で良かったですよ」
「⋯⋯あの娘は拒むことをしないから仕方ないんだよ」
テンゾウは不思議だった、ついこの間出会ったはずのカカシがこれ程彼女を知っていてこれ程のめり込むことが。
「先輩、何故なんですか?」
「なーにさ。良いでしょ、は俺の唯一の奥さんになれる人。俺が選んでも選ばなくてもには俺しか有り得なくて、俺にもしか有り得ない、それだけの事だよ」
何がそれだけのことだ。
テンゾウはそう思いながら、カカシの視線の先を見つめる。
がナルトを溺愛しているのは誰が見てもわかること。
あの娘は誰でも同じく愛する。
それが、時には恐怖でもあることを知らない。
ナルトが何故特別なのか、それは解らない。三代目はに預けると言ってご意見番は賛成した事にも驚いた。
を介して懐柔させようとしたのか、または、こうして監視しやすくするためか。
ふぅと、ため息をつく。
「あの子と幸せになるのが、俺の小さな夢だからだよ。怒って泣いて笑って喧嘩して仲直りしてそんな、当たり前な夫婦になるのが俺の夢なんだよ⋯それは⋯普通に夫婦になるより難しくとっても⋯あぁ、奇跡に近いぐらい困難だって解ってるよ」
あの娘は人狼。
カカシよりも、若しかしたら三代目よりも強いかもしれない。
その、かも知れないを拭えない。
だから、こうして監視される。
それでも、カカシの瞳は真っ直ぐでテンゾウはを見つめる彼を見るのをやめる。
それは本当に、希望のない夢だろうから。