第9章 愛痛い。
相談役は頭を抱えていた。
エビゾウ、ホムラとコハルはただただ頭を抱えていた。
カカシは若くして秀才、それも誰もが一目置くような。
そのカカシが、笑っていなかった。
ダンゾウだけがほくそ笑む。
「との婚約が許されないと言うのであれば責任をもって彼女を連れて里を出ます」
「⋯」
「カカシ、お前は何を言っているのか理解しているのか」
「していますとも。俺は、彼女と、彼女を護る力があれば何もいらない。それを許さないと束縛するのであれば、里を出ると言っているのですよ」
「何故あの人狼なんだ」
コハルの言葉にカカシは首をかしげる。
「何故?愛おしい、俺にとって愛おしい女の子だからですよ」
「⋯⋯アレがどれ程のものかお前は知らない」
「知っています、そう言い切ってしまうのは面白くはないのでしょう?ですが、彼女は非戦闘員に一度も手を挙げたことは無い。どんな事をされても。誰より理解している子です」
「人狼は、滅ぶべき種族だ」
「あ奴らは人ではない」
「人とは違う」
「なら、ナルトにも、クシナ様にも同じ事を思っていたと」
カカシはにこりと微笑み立ち上がる。
「婚約が駄目なら、結婚が許されないというのなら、そうですね。を殺して俺も後を追いましょう。貴方達の言葉は誰一人の話をしていない。」
「待てカカシ」
「なんです、俺が選んだ婚約者の事で詰り忘れでも?」
「⋯⋯の何処が気に入った」
ダンゾウの言葉に目を閉じる。
「人を愛しているくせに、人を案じるくせに、自らを愛さず、自らを案じず、愛されない事に何の疑問を持たないところですよ。その癖、普通の女の子に憧れているという矛盾が愛おしいと思わない訳がありません」
「⋯⋯カカシお前は絆されている」
コハルの言葉を聞いてカカシは眉間を寄せた。
「絆されている?ダンゾウ様、何の役割もない私と婚約した。私とどちらが絆されているか貴方ならご存知でしょうね」
は、自分のテリトリーには誰もいれない。
深くは入り込ませない、だから、役割を持たない人に深入りすることはない。
絆されているのはだった。