第9章 愛痛い。
はで手を焼いていた。
驚きも驚きだ。
の中のナルトはとにかくいい子だったから。
「おば、け!?やい!おばけ!俺を食べようったってそーはいかねぇぞ!!」
ナルトに驚かれ、誘拐だーなんだーと叫ぶナルトを抱えダッシュで新居に帰る。
が、玄関に立ったままかれこれ一時間向き合っていた。
「⋯ナルト、ほら、今日から此処は貴方の家なのですよ」
何度呟いたろうか。
ナルトは心を閉ざしていた。
「お化けとなんか暮らせるもんか⋯」
「⋯⋯困りましたねぇ⋯なら、少し待っていて下さいませ」
「?」
リビングに行き髪の毛を短く短く切る。
あの子がそれを気にするのなら、今までの幸せを沢山たくさん返すのは今なのかもしれないから。
そろりとリビングに顔を出すナルトは目を丸くしていた。
「そ、そ、その頭!髪の毛!」
「えぇ、これでお化けらしさは少しは緩和されるかと思ったのですが⋯駄目でしょうか?」
「なっだっ、ダメだってばよ!!!せっかく雲みたいなキレーな髪の毛!何してるんだってばよ!!」
切った髪の毛を抱えて言うナルトの前にしゃがむ。
「でも、お化けっぽくはなくなりましたね、それに髪の毛は伸びるからいいのですよ」
「⋯ダメだってばよ⋯⋯」
この子は謝り方も、感情の伝え方も知らないまだまっさらな子。
そろりと、抱きしめる。
「なら、ナルト。お願いがあります。毎朝私の髪の毛を結って下さいませ」
「おれ、が?」
「はい、早く伸びろ、早く伸びろとナルトが祈ってくれるだけで違うんですよ」
「⋯ほんとに?伸びる?」
「勿論です。嘘をつきません」
「⋯⋯ならやってやっても⋯いい⋯ってばよ⋯」
「感謝します⋯ナルト」
嬉しい言葉を、あなたは沢山持っている。
今もそう、お化けと言いながら私の髪の毛を雲みたいと言ってくれた、それがどれだけ救われるか貴方は多分知らないのね。
「ナルト、今日から私と二人で暮らしましょう」
「⋯⋯」