第7章 恋をした。
カカシの言葉に静かに踵を返す。
彼女はいつも孤独の瞳をする。
分かち合うことが解らない、愛情を知らない、それなのに彼女はカカシを好きだと言うんだから可笑しくてとてもいとおしい。
あの日を思う。
カカシが家に帰らなかった。
彼女はその意味さえ知らず、自分で食事を取ることも知らず、生きることも知らなかった。
けれど、帰ってこないカカシを死んでも尚心配していた。
なんとも愚かな種族だろう。
彼女の母親もどこまでも愛情深く憎しみを知らないような天真爛漫で無垢な人だった。
人狼と呼ばれた彼らは憎まなかった。
無知だからではないと気がついたのは彼女が学を身につけてからのこと。
彼女は自分の存在を理解してカカシを好いて、結ばれないことを選んだ。
それが彼女の愛。
「だからね、カカシ彼女の全ては彼女の思い出作りになったんだよ、そして彼女はお前を愛しているから何度でも死んで何度でも後悔するんだよ。そして、何度でも出会うんだよ、お前と、あの子が幸せになれる道を探しているんだよ。」
あの場所で泣いていたを思い出す。
貴方は⋯まだ、死なないでいて、もう少し、死なないでいて。
思い出作りから抜け出すのは簡単ではないよ。