第2章 君との距離感
朝、あたしは最寄りの駅で電車を待っている。
蛍にメッセージを送ってみようかなぁ~と思っていると視界の端に学ランが映った気がした。ふと視線をそちらに向けると、背の高い男の子…
「あっ、蛍?」
蛍はこちらを見ると軽く頭を下げただけだったけれど、嬉しくて蛍のもとに駆け寄った。
「おはよー!」
「おはよう」
「隣の男の子は蛍の友達?」
「あ、俺山口忠って言います。ツッキーとは小学校から一緒で。」
「そうなんだぁ。佐々木由佳です。よろしくね」
山口君は割と気さくに話してくれた。
「蛍の事ツッキーって呼ぶんだね!みんなそう呼んでたの?」
「いや…多分俺だけだと思う。」
「そうなんだ、ん~蛍がツッキーなら、山口君はグッチーだね!」
「へ?」
「決めた!今日からグッチーって呼ぶね!あたしは由佳でいいから!」
山口君…グッチーはハハと笑って頷いた。
電車に乗ってからもグッチーは話しかけてくれたけれど、蛍はずっと難しい顔をして黙ったまま目的の駅に着き電車を降りた。
高校までの間も蛍は黙ったままだったので話しかけてみた。
「ねぇ、蛍。蛍は部活とか入る??あたしは部活入ることにしたの!」
「君には関係ないデショ。それに君が何部に入ろうが僕には関係ないから。」
なんだか昨日より冷たい、拒否されてる態度な気がして
「…そうだよね。ごめんね。」
とっさに出た言葉は何とも気の利かない言葉だった。
そのまま気まずくて黙って教室まで歩いた。
蛍に拒否されたのが、何故か無性に悲しくて寂しくて。