第14章 【甘】この災難を彼女は〝運命〟と呼ぶ/相澤消太
「相澤先生!」
職員室を出るや否や、待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべ俺の方へ駆け寄って来る逢崎は今年雄英に入学した普通科の生徒だ。本来ならばヒーロー科の担任である俺と普通科である逢崎は殆ど接点は無いんだが、ある出来事を境に逢崎は暇を見つけては俺の元へと足を運んだ。
「いつも言っているが時間は有限だ。有効的に使え。合理性に欠ける。」
「今日はね、先生にプレゼントがあるんですよ。」
「いらん。」
いらないと断りを入れたにも関わらず、聞く耳を持たず、逢崎は弁当袋を俺に差し出した。
「一々食事を取るのは合理性に欠く。」
「でも、たまにはちゃんとしたごはん食べないと。ヒーロー科の先生って大変なんですよね?体力持ちませんよ?」
「なんだ?イレイザー!愛妻弁当か!?」
職員室から出てきたマイクがそうからかうと、逢崎は嬉しそうに頬を綻ばせた。逢崎から分かり易いアピールをされて以来、妙に仲良くなったマイクと逢崎。そんな二人に絡まれるのは無駄な時間と体力を消耗する。