第13章 【切】自家撞着の行末/治崎廻
「お前は八斎會の研究の為に飼われていたただの被害者。その末、俺から視力と声を奪われた。…いいな?」
その言葉の後に腹部を蹴られ、廻くんから引き剥がされた。
嫌だ。廻くんと離れたくない。私は被害者じゃない。廻くんの事が好きなただの女の子。置いていかないで。大好きなの。伝えたい言葉は声にならない。お願い私の気持ちをちゃんと聞いて。
「 」
常衣くんに担がれ、じたばたと暴れながら何度も何度も叫んだ。けど、叫ぶ言葉は音にならない。こんなお別れは嫌だよ。
「オイ!女の子だ!」
もう大丈夫だよと言って私を抱き締めてくれる体温は私が欲しかったモノじゃない。私が安心するように優しい言葉を掛けてくれてるのが伝わる。
廻くん、迎えに来てよ。私は普通の幸せが欲しかったんじゃない。最後までずっと廻くんと一緒にいたかった。ただ泣く事しか出来ない無力な自分がただただ恨めしくて仕方なかった。
fin.