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【WJ】短編 -2-

第13章 【切】自家撞着の行末/治崎廻


「オジサン、これ落としたよ。」


 他人の血で汚れた手袋を持ったソイツはそれを俺に差し出した。他人の血で汚れた手袋。ただでさえ汚いそれを他人が触れている。そんな物、触れられるもんじゃない。


「落としたんじゃ無い。捨てたんだ。」
「でも、道端に捨てたらダメだよ。ちゃんとゴミ箱に捨てないと。」


 俺が怖くないのか、距離を縮めてくるソイツは俺の手を掴んだ。────汚い。極度の潔癖で他人に触れられたら蕁麻疹が出る体質。咄嗟にその小さな手を振りほどいたが、いつもなら出る筈の蕁麻疹が出てこなかった。それがこの糞餓鬼、逢崎遥香という俺が唯一触れられる人間との出逢いだった。


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