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【WJ】短編 -2-

第4章 【甘】胃袋鷲掴み大作戦/花巻貴大


「何やってんの?」
「うぎゃあっ!」


 ずんと肩に重みが掛かる。私の肩に貴くんが顎を乗せていた。肩ズンってやつだ…!


「うぎゃあって何だよ。色気ねえな。」


 肩を揺らしながらクククッと笑う貴くん。カッコいい。…じゃなくて!


「なんで貴くんがいんの!?」
「遥香甘いもん好きだろ?ほら。」


 そう言って差し出されたのは、両手いっぱい紙袋から溢れかえらんとばかりのチョコレートの山。今までならそれを喜んで食べていたけど、貴くんへの恋心に気付いてしまった今、そのおびただしい量のチョコレートを見ても複雑な気持ちしかわかない。


「いらねーの?」
「…いる。」


 紙袋をあさくると、有名なお店のチョコレートや、手作りのチョコレート、これ、絶対殆ど本命だよ。


「つーかさ、珍しく料理なんかしちゃって、どうしたの?好きな奴でも出来た?」
「別に。学校で手作りのお菓子が流行ってるから作っただけだし。はい、これ貴くんに。」
「お、サンキュー。…って、おい。これ、絶対板チョコだろ?そっちは?」
「これはお兄ちゃんとお父さんの分。」
「なんで俺だけ手作りじゃなくて、板チョコな訳?」


 そんなの失敗したからに決まってる。板チョコすら渡すのにも気が引けたのに、こんな美味しそうなチョコレート達を前にあんな凶器めいたチョコレートなんて渡せる訳が無い。


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