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【WJ】短編 -2-

第3章 【甘】チョコレートの代わりに/青峰大輝


「オイ、遥香。チョコ準備してんだろ?寄越せ。」


 突然伸びてきた黒い腕に捕まり、耳元でそう言われた。それとなく遠回しにチョコレートの催促をされた事はあるが、こうもどストレートにチョコレートを催促されたのは初めてで、ビックリした。いや、まあ、青峰らしいと言ったら青峰らしいけど。


「ちょっと離してよ。私、次移動教室なんだから。」


 背後から回された手を振りほどき、キッと青峰を睨みつける。


「どうせ準備してんだろ?さっさと寄越せ。わざわざ貰いに来てやったんだ。俺を尋ねてくる手間が省けたんだから感謝しろよ。」


 貰う立場でありながら、なんでそんなにも偉そうなのか。…青峰だからか。


「はあ?なんで私が青峰にチョコあげなきゃいけない訳?1年生はさっさと1年の教室に戻りな。」


 そうは言ったものの、ちゃんと青峰の分もチョコレートを準備してある。まあ、青峰にだけじゃなくて、男バス全員分なんだけど。それに放課後部活の時にでも渡そうと思って教室に置いてきたし。でも、青峰の態度を見て渡すのが気が引けた。なんで、ホントこんなに偉そうなのよ。チョコレート渡したら調子乗りそうだし。いや、渡さなくてもいつも調子乗ってるけど。


「チョコレートなら桜井から貰ったら?どうせ桜井の事だから凄いの準備してんじゃないの?」


 男子でありながら女子力の高い桜井。よく、女バスにも手作りの差し入れを持ってきてくれる可愛い後輩。青峰も少しは桜井を見習えばいいのに。多分、2人を足して2で割った位が丁度いい。

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