第13章 貴方に有難うの言葉を…(完)
「ねぇ、総悟…」
「…なんでィ…?」
そう返した総悟の声はいつもと違っていた。
そんな総悟に私は声を掛ける。
「気にすることないよ…?」
「ぇ?」
総悟はそう驚きの声を上げながら
私のほうを振り返った。
そんな総悟に私は言った。
「だって総悟はちゃんと、私を守ってくれもんっ!」
そう言って私は笑顔を向けた。
「…華菜…」
「総悟が来てくれたおかげで私、怪我せずにすんだもん」
「…ありがとうございやす…」
「え、何で総悟がお礼を言うの…?」
「お前が優しいから…」
「優しくなんて…。それにお礼を言わなきゃいけないのは私のほうだよ? それに私、総悟に謝らないといけない。」
「え? 謝る…?」
「うん…。総悟は中学の頃からずっと、私を助けようと手を差し伸べてくれてたのに…その手を掴もうとしなくてごめん…あの頃は私の行動で総悟が悲しんでるなんて知らなかった…だけど、今日わかった。総悟にずっと辛い思いをさせて居たんだって…」
さっきの曇った横顔を見て分かったんだ…
きっと総悟は中学の頃から
あんな顔していたんじゃないだろうか?
私に差し伸べた手を私が拒んだ度に…
今、そう考えて思うと胸が苦しくなった。
「……」
「だから、ごめん…。それから…」
そこで言葉を切り、私は総悟を見る。
そして…