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いとし、いとし【短編集】

第10章 雄弁な瞳【krk 水戸部凛之助】


『水戸部くんが好きです』


ずっと、胸に溜め込んでた想いを伝えたのは先日の事。


委員会でしか接点は無かったから、
きっと振られちゃうんだろうなぁ…と思っていたけど、

彼は、驚いたように目を見開いて、

それから…
大きく頷いてくれた。


無口で有名な彼は、
そんな時もやっぱり無口だから、
彼の真意がイマイチ分からなくて、

『私とお付き合いしてもらえますか?』

と訪ねると、


今度は顔を真っ赤にして、コクコクと頷いてくれた。

それから始まった私と水戸部くんのお付き合い。


部活に、
委員会に、
お家の事に、

忙しい彼だけど…

私との時間もちゃんと作ってくれる。

本当に優しい人。



今だって、ほら。

タッタッタッと、リズムよく駆けてくる足音が聞こえて来たかと思えば、

申し訳なさそうに眉を下げる彼がいる。

きっと、「おそくなってごめん」と言っているんだろう。


私が勝手に待っていただけなのに…。


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