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いとし、いとし【短編集】

第7章 彼からの一言【hq 月島蛍】


そして、皮肉な事に、

姉と月島くんが付き合い出した事で、

私と月島くんは仲良くなった。



聞かれるのは当然、姉の事。


その度にチクリと痛む胸は、開いて見てみたらきっと傷だらけだろう…。



でも、しょうがない。

私が姉に勝てる訳でもないし、
この人が私に振り向いてくれる可能性もない。


ただ今日だけは、姉の誕生日の話なんかしないで欲しかったな。

出来れば、

本当は…


月島くんから姉の話も聞きたくないな。



それくらいの我が儘、
今日だけなら許されたっていいと思う。


だって、今日は…


私の誕生日。



姉の誕生日を祝う相談事じゃなくて、

嘘でも、社交辞令でも、何でもいいから、

彼からの『おめでとう』が欲しかった。



神様は意地悪だ。



先程の問いかけに対して返事をしない私に、

また、彼は一瞥を向ける。



わかってますよ。
聞いてますよ。


「さりげなく聞いてみるけど、あまり期待はしないでね」


やっとの事で返事をすると、


私のポケットから新着を知らせる電子音。

続けて月島くんのポケットからも同じ電子音。


揃ってスマホを取り出して、通知を開いた。


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