第7章 彼からの一言【hq 月島蛍】
素敵な人には素敵な相手がいる。
それはもう、当然の事だと思う。
「話、聞いてるの?」
私の顔の前で大きな手のひらを上下に振るこの人は、私が絶賛片想い中の相手。
でも、この人には彼女がいる。
その彼女とは、私の二つ上の姉である。
「ご、ごめん。月島くん。何だっけ?」
「だから…」
心底呆れた。とでも言いたげに溜め息をつきながらこちらを一瞥する月島くん。
「君のお姉さんの誕生日の話。何か欲しがってるもの知らない?」
悪びれもなくこう聞かれては、為す術もない。
「ごめん。知らないよ」
悲しさや悔しさを堪えて、そう答えれば今度は、
「じゃぁ、内緒でリサーチしといてよ」
なんて、ちょっと笑った。
基本的に、他人に興味が無さそうで、クラスの女子にも冷たい受け答えが多い彼が姉にベタぼれの理由は未だに謎。
そもそも、
どこで知り合ったのか…
接点があったのか…
その辺りを姉も月島くんも教えてはくれない。
私は隣の席になってからずっと、月島くんが気になっていたのに…。
なかなか話が出来なくてモヤモヤしていたのに…。