第41章 向き合うのが遅すぎた【刀剣 大和守安定】
「陸奥。なんでこうなってるのか説明して!!」
付き合いの一番長い彼に私が問いかければ、
「こいつらが悪いんじゃぁ」と、陸奥は新撰組刀を指差す。
「喧嘩売ってきたのはそっちだろーが?」
血の気の多い和泉守が身を乗り出してそれに応戦する。
はぁ…ダメだ。
「だ・か・ら、まず説明をして!!」
掴みあいをはじめようとする二人の間に体を滑り込ませ、陸奥の動きを止めた。
「こいつらは…特に大和守は、女の長は認めん言いおった。そげな事、初期刀として許すわけにはいかん!!」
「別に主の事とは言ってない!!」
今度は大和守だ。
「言うたやろが!」
「だからって、大和守さんにいきなり掴みかかるのはどうかと思うよ」
「先に手を出したのは陸奥守だ」
再び言い争いが始まってしまった…。
時代が変われば価値観が変わるのは当然だ。
男尊女卑とまで行くと些か言い過ぎになるが、
「女子と小人は養い難し」とか「姦しい」など女性を揶揄する言葉は少なくないし、
組織の長は男であるべきだとか、
女人禁制の場所があったりとか、
そんなのも含めて歴史であると、頭では理解している。
でも…
頭では解っていても、
実際、自らの身に降りかかってみるとなかなか堪えるものがあるな…。
だけど、いくら主といえど刀剣男士達各々の考え方を改めるなんて間違いだと思う。むしろ、受け入れるべきだ。
彼らの主であるからこそ、そうあるべきだ。
「もう、わかった!わかったから!」
とりあえず、頭に血がのぼっている初期刀を落ち着かせようと、彼に寄り添う。
「陸奥。一回、落ち着こう?陸奥の気持ちは嬉しい。でも、彼等の考え方だって間違いじゃないよ。それが、彼等が過ごした時代の歴史なんでしょ?陸奥とは考え方が違うだけのこと。そうでしょ?」
広い背中に手を当てると、「そう…じゃな…」と、彼は洩らした。
よし、これで万事解決!!
と、いくはずだったのに…