第26章 明日の予定はもういらない【krk 火神大我】
『話がある』とは、なんなんだろう?
『明日の放課後』とは、どうゆう意味なんだろう?
もしかして…
もしかして…
期待してもいいんだろうか?
火神も私と同じだと、
期待しちゃっていいんだろうか?
もし、そうだったら…。
「待って‼火神‼」
扉まで歩を進めていた火神が、こちらを振り向く。
教室を出る直前だった彼の側まで近寄って、クイっと袖を引いた。
「あのね」
「なんだ?」
当たり前だけど、座っていた先程とは違い、立ち上がればありすぎる身長差。
目線が会うように、火神がちょっとかかんでくれた。
ぶわぁっと、身体中の熱が顔に集まる。
「わ、私も…火神に…話ある、かも…」
「えっ?」
私の言葉に火神は目を丸くして、
それから、また、私の好きな無邪気な笑顔でニカリと笑った。
(やっぱり…)
さっきまでの期待は確信に変わる。
「早瀬。なんか…明日とか、もうどうでもよさそうだな」
わしゃわしゃと大きな手のひらが私の頭を撫でた。
「オレ、今から購買行くけど、お前も行くか?」
その問いに、「うん」と笑って、
歩き出した彼の隣に並ぶ。
生徒が行き交う廊下の喧騒の中、
「ん」
当然のように差し出される大きな手。
おずおずと重ねれば、
グイッと腕が引かれて…
「お前が好きだ」
降ってきた火神の言葉が、頭の中に甘く甘く響いてきた。