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【彩雲国物語】彩華。

第4章 彩花。



 千代は微笑んでいた。
 まだ?まだ?と言うのは子供のよう。
 むにっと、人差し指で口角を上げられる。
 「笑ってちょうだい、戩華、もう誰も貴方を狙わないの、沢山たくさん笑って」
 なんて言えば、なんて⋯
 「栗花落姫様を独り占めしたくなったらいつでも殺して、それまで愛して⋯お願い、ね?」
 全てを知っていていうのだから。
 「馬鹿な娘だ、お前は俺の妃だろう。随分と貧欲な奴だな」
 ぱあっと顔を赤らめて大きく頷く。
 「貴方に愛される為なら、誰でも殺してみせるわ、貪欲なのよ私」
 「なら、もう少しこの世に生きるんだな。死ぬな、千代」
 目を丸くし、そろりと離れる。立ち上がり、見おろす瞳は涙でいっぱいになっていた。

 声にならない言葉。
────────違う。私の戩華じゃない。
────────もう死にたくない。
────────誰か、たすけて。
 気絶したのか、がくりと倒れるその姿は元に戻り、光は消えていた。
 「あーあ、千代様がやっと、呪縛から解かれる所だったのにひどい王だ」
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