第4章 彩花。
「龍蓮様、私は⋯何者⋯なんです、か?」
龍蓮は目を見開き雪を見上げていた首を降る花や月を見て目を閉じていた。
「⋯⋯時ではない、きっと、今は知らぬ方がいい」
千代は気がつく。
意地悪で隠されているんじゃないと。私の為なのだろう。きっと、こうして隠すのは⋯きっと⋯私が傷つかない為なのだろう。
「そう、ですか、ありがとうございます龍蓮様」
そろりと手を伸ばすと何故か頭を差し出され撫でてやる。
数分撫でると満足気に部屋を後にしていた。それからというもの三人の頭を同じく撫でてやると言う罰ゲームみたいな所業をしていると玉華が止めてくれた。
龍蓮が寄越したのだろう、玉華の手には美味しそうな粥があった。
「こら、八千代様をいじめて悪化したらどうなさるつもりですか」
「何度もいうけど、これは八千代が悪い訳じゃないんだよ」
「それでも、お辛いのは八千代様でしょう。ほら、どうしても看病と仰るなら大人しくしていてくださいまし。」
シッシッと言う玉華ににやにやしてしまう。言うことを聞く三人もまた面白くて。
くすくす笑えば咳き込み心配をかけてしまう。
月はお粥をみて食べさせたいと言い出し、渋々月に任せる。
「ねぇ、八千代」
「はいっんぐっ」
「僕等が君にしてあげられるのは、君が誰か教えないことぐらいなんだ。君はいっぱい泣いて泣いて泣いて沢山捨ててきた。大切なものも、愛する人たちも、譲れなかった守る者も、笑顔も、心も全部捨ててきた。いつの間にか空っぽになって、それでも君は何度も立ち上がった。」
「⋯⋯⋯」
「八千代、心はちゃんと今そこにあるかい?」
月の言葉に目を見開き考える。
「分からないわ⋯心は⋯目に見えませんもの」
「うん、そうだね、けれど君は確かに少しずつちゃんと心が戻って来てるんだ、今はまだその途中。だから、ちゃんと心が君の元に戻って来たらちゃんと全てを話すよ。そして、君の願いを何でも叶えよう」
千代は驚いていた。