第4章 彩花。
連れて帰ると酷く怒鳴られ寝床を用意したが月から離れることはなかった。
うわ言で何かを呟いていたが月に辛うじて聞こえる程度。なにを言っているのか、そして、彼女は酷く魘されていた。
夜になり、離されてホットしたかと思えば彼女は熱を出し魘され、人の体温ではない熱さに誰もが驚いた。
成程、あの雪山で死なない訳だ。
千代はふらりと起き上がりにへらと笑うと部屋を出て雪に倒れていた。
雪等は大爆笑していた。
そろり、そっと、起き上がる。
「熱いの⋯」
「八千代、それは君の体温ではないからだよ」
「私の、体温、じゃない?」
「君の体調不良でもない」
「どうして、こんなに、苦しいの⋯」
月が泣きじゃくるのを堪える彼女の前に立ち微笑む。
「そこまでは分からない、けれどね、八千代。具合が悪い時や辛い時悲しいとき、君はそれを面に出すべきだよ」
頭を撫でると彼女は泣き出す。
ふわりと月に抱きつく千代はいい香りがした。何処か花の香りが香った。
「っうぁあああああああああああんひっっふぇっ」
「ちっちゃい子だねまるで」
「月に持って行かれそうだね」
「僕が見つけたんだけどね」
その日から月に懐いた王の妃。