第3章 彩歌。
「ち、ち、ちちち、千代様、此処はっ」
「あら、貴方も会ってみたいでしょう?薔薇姫様」
「なっ!?」
「じゃなくて、邵可の奥さんと、邵可の愛娘」
「いけません!!」
「あら、私達は通りすがりの家族よ」
「なんですかそれ!第一どうやって⋯」
俥から降りるとやかましい栗花落。
ぐっと、引っ張られ劉輝に視線を落とす。
「劉輝?」
視線をたぐると、私の可愛い息子がいた。
手を伸ばすと怒った顔を見せて駆け寄る
。
「あなたと言う人はーーーーーー⋯!!!遅すぎです⋯」
愛おしい息子は大きくなっていた。
千代は優しく頭を撫で、微笑む。
「私の唯一の息子、お留守番はちゃんと出来ましたか?」
「ええ⋯当然です⋯っ」
「あ、せーえっあっ!?!むぐ!?」
「劉輝様、ええ、そうです、ですが、彼は静蘭と申して千代の息子なのですよ」
栗花落が優しく教えるとガランと鍋を落とした音に振り返ると邵可がほうけていた。
その下には小さな女の子。
劉輝は驚いた。
自分と同じぐらいの女の子を初めて見たから。
「ち、千代、あに、えっと、せーらん!あの娘は?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯姉上⋯⋯」
劉輝の問より、かすかに聞こえた声に驚いた。目を丸くする。
ぎゅっと静蘭を抱きしめて。
「いま、なん、て?」
「千代、姉上⋯生きて⋯!?姉上!」
ボカっと邵可の頭を叩いた美姫。
千代は涙が流れ微笑む。
「えぇ、初めまして、お久しぶりです。姫様、そして、邵可」
それは短い一日の出来事。