第3章 彩歌。
剣を放り投げたため、顎や首筋を切ってしまう。
直ぐにその剣を手にして素早く叔父上の拘束を解くと剣を捨てる。
「やはり千代は武官向きですな」
「⋯それはダメです。」
「劉輝、戦はね簡単に誰でも出来るの。人を一人殺せば次は百万人殺せるわ。でもね、殺さない事はそう簡単に出来ることではないのよ」
「っえっぐふぇ、ちょ、こわかった、ちが、うっ」
「えぇ、王とゲームでもしたのでしょう?でもね、刃は少し間違えると簡単に戦になるわ。だから、貴方はまだそんなことしないで?ね?」
ひょいと、劉輝を抱き上げ宥めていた。
「叔父上も!!いつも私を馬鹿者と言うのは構いませんが、劉輝や静蘭には甘すぎます!!!次このような事があれば、口をききませんからね!」
劉輝はびくりとして、ぎゅっと千代にしがみつく。
「王、暇なら汚職と自分の地位を揺らがせる家でも潰しに行かれては如何です?こんな所でこんな暇潰しされるなんて悪趣味としか言いようがございません。では」
「待て、余は王だ」
「その手に剣以外何をお持ちで?王?確かに貴方様は王でしょう。私を引き止めるために王として言うものはなんですか?まさか、妃だから従えなどバカのような言葉をいう訳ではありませんよね」
ご立腹の妃。
霄は笑っていた。
「ひざ枕でも、毛布でもやる、今日寝所に「今日は劉輝様と寝ます故、お邪魔なさらないでくださいまし。それでは失礼致しました。」
クソッと悪態つく無様な王を見て霄は笑い、旺季はざまぁみろと思う。
あの娘は謙ることは無い。
けれど、あの王が手を出さないのを見て。
愛されていない訳では無いと知る。
少しほっとした。
「だから言ったでしょう。こんな事をしても劉輝様を千代は見放さぬと」
「ふんっ夫より息子をとるとはどういうつもりだ」
「悪いのは主上です」
「旺季の言う通りですな」
腑に落ちないと言う顔をしていた王を見て可笑しいと思った自分が笑えた。
あの王を負かした自慢の娘。
誇らしく愛おしいに決まってる。
穏やかなのは生きているから。