第11章 才華。
戩華の後には頭を抱えた娘と息子が旺季と共に居た。
「戩華!!お前はまた問題を起こすつもりか!!」
「ふん、仕方ぬだろう?俺じゃこの結界は破れぬ、霄に言えば腹が痛いだ腰が痛いだとぬかしやがるしな」
「あんたは⋯文を出せばあけてもらえるでしょう」
「ああ、だが、嫌味な奴でな。出した文が開かずと戻ってくる」
「瑠花姫に嫌われてるんですからな」
「だから、羽羽をこうして連れてきただろう」
「それが、瑠花姫の反感を買うのですよ!!!」
怒鳴り合う二人。
静蘭は、ふと、入り口に触れようとして戩華に首根っこを引っ張られる。
「これは、人避けの結界ではない。」
「?」
「さ、さようです、人隠しの結界で。言葉通り中の人を隠すために近寄ったものに強い呪詛をかけるものです。」
戩華は唸る。
「瑠花がかけたのか」
「いいえ、瑠花姫様はこの手の結界はこんな屋敷にいっぱいは⋯張り続けるなど⋯」
「ふむ⋯⋯仕方ない」
諦めるのかと思いきや突然、文を書くと言い出した。
文を作ると、近くの男を捕まえて文だと叫べと言っていた。
栗花落様がいないとこうも暴走するのかと頭を抱える。
そんな簡単に開くわけがなかろうと旺季が怒鳴ると、ガチャと門が開く。
中から出てきたのは⋯小さな頃の蒼姫にそっくりな男の子。
「あれ?あのぉ、文は?」
「だ」
「「「誰だ!?」」」
戩華はしゃがみこみ眉間を寄せる。
「その戸をもう少し開けてはくれぬか」
「?何故ですか?僕は文を⋯」
「あぁ、荷物が少し大きくてな」
「それでしたら!」
ぱあっと微笑み、正門を開けたのを見て戩華はニヤリとする。
「お前達、羽羽を連れて帰れ」
じゃぁな、と言えば中に入って男の子を抱き抱え門を閉めていた。
この男!!!は!!!
戩華!!!!
と旺季がめまいを起こすほど怒鳴っていた。
良いように払われた旺季達はすぐに、栗花落へと城に戻る。
その足取りは酷く重いものだった。