第11章 才華。
繰り返すつもりはなかった。
戩華がまた行けと言うならまた行こうと思えたけど、二人は休めとただただ私を甘やかせた。
それが嬉しくて幸せな時間だった。
ある日、目が覚めると見慣れた数人の娘が居た。
「千代、迎えだ」
「え⋯?」
「瑠花姫の侍女だろうね」
「へ?」
「千代、お前はそろそろ気がつけ」
「な、何をですか」
「私達は充分もう、幸せだよ」
その意味も分からず、千代は首を傾げるが二人は笑顔で私の手を離す。
「千代、幸せになるんだよ」
「もう、何も抑えることはない」
栗花落と戩華の言葉に涙がぽろぽろ零れた。
「あのね、戩華⋯もう、解らないの、私には解らないの、方法も心も」
「大丈夫だ、お前は誰より強く賢い、そして、俺達が愛した娘だ」
「千代、貴方の一番の魅力はこのかわいい笑顔だよ」
「わたし、もお、もどりたくない!」
「なら、千代。次は俺達に出来なかったことをしてみせろ」
「っ~いや、離れたくない!」
「ふふ、もう可愛いな」
「栗花落が甘やかしたからこんな娘になったんだ、少しは責任とれ」
「うーん、それも、そうだね、千代。私も見たいよ。ね?」
「っ!ずるい!!」
笑い声が遠くなって、幸せになりなさいと二人が肩を寄せ微笑んでいた。
誰かに引きずられるように地にに引きずられる。
耳に届いた、二人の愛してるよの言葉に目を閉じて肩の力が抜ける。
今更自分の幸せなんか探しようもないのに。
目を開ける。
そこには小さな泣き顔。